無事に待機地点まで帰りついたものの、何とか何時もどおりの声と表 情を向けられたかと思った時点で情けなくも疲労感に負けた私が、漸く 目を醒ましたのはもう昼も大分過ぎただろうかという時刻だった。 “地上”は“塔”と“帳(とばり)”がもたらす異常が収まってからは 空の様子は基本的にほぼ正常に戻っているが、今見える周囲の力失せた ような有様は大分辺境にまでその異変の影響は及んでいたことを示し、 例え今直ぐネフィリムたちが姿を消したとしても元の様相を取り戻すに は時間が掛かるだろうという疲弊したような雰囲気がしていた。 最も異変の根源に近かった筈の“塔”付近では直ぐ普通に見えるように 風景の戻った場所もあったというのに。斑(むら)があるのか、それとも 反動の比率なのだろうか。 ぼんやりと胡坐をかいて座り。ふかふかと手触りのよい植物らしい、周囲 のものとは全く違う、よにん転がって居ても十二分以上に広いだろう安 全で心地の良い休憩所のそれを触っていると。 ・・突如、ぽんと背を軽く叩かれた。 半ば予想はしていたが、驚いて振り向くと想定どおりに。 ルシフェルが、紙で作られたそう大きくもない箱のようなものをひとつ 小脇に抱えて。何故だか“正座”するようにきちんと両膝を折って揃え て座った姿勢で、右手を引くところだった。 脇に抱えていた薄茶色の紙箱(以前聞いた事のある“ダンボール”という、 素材は特殊ではない薄紙なのに組み合わせて強いという箱だと思う)を 両手に持ち替えて、ほら土産だぞ、と笑う。 ・・・こちらで何かが変わることで解決のヒントになるような変化はあ るのかいう探査と、かれの気晴らしと、私たちへの土産を持ち帰るよう な半分神へのそれの習い性であり趣味のようなものも兼ねて、時折のそ れを絶やすことはこれまでの旅の間には無かったのだが。 “塔”の終幕と余り間を置かなかった冥界の異変からここまでは、流石 にそれどころでは無く。 少しの間、行(ゆ)くことすら忘れたように途切れていた。 「・・おかえり、ルシフェル」 そう、応えた私に。 時々聡いかれは何か変だとは察してしまっているのかもしれない。 「・・・ただいま、イーノック」 とほんの少し間を開けて応えると、何時もこういう時に気が向いて話す のと変わらない様子で箱の中身について説明を始めた。 私たちが留守の間に、神はネフィリムの“ごはん”の補充用、というか “おやつ”代わりに小さめで手渡しし易く、ルシフェルの好みからも外れ ていないだろう甘酸っぱい新鮮な果実を一籠用意してくれたらしい。 それで、以前先の時で口にした気に入ったものを思い出して私たちにも 食べさせたいと思っていたので、私が眠ってしまった後、ナンナたちに 断りを入れて出掛けて首尾よく手頃なものが手に入ったので、丁度今戻 ったんだという。 箱の表面を眺めると、神の下さった翻訳機能が“さくらんぼ”と“ニホ ンゴ”の“ひらがな”で書かれているそれと産地や何かなのだろう情報 の記載を大まかに、ずれて並んだ“字幕”で示してくれる。こういうも のの場合、単に訳されても知識がないと意味やどういうものかは不明な ことも多いのだが。 美味しいんだぞと自分も楽しみな風に箱を眺める表情は、旅の間に繰り 返されたものと特に変わらない。土産を持ち帰って楽しそうにしている それのうちだ。 ・・・あんまり、気にしていないといい。 ルシフェルが箱を開けて私に中身を見せようとしていると、ナンナが 気付いてやってきてネフィリムもその後ろから覗き込む。 ウリエルはルシフェルが帰ってきたので、ナンナたちがまだ居なかった 頃、ルシフェルの不在の休憩時に四天使が交替で不可視でついていて くれたように、入れ替わってちょっと一息入れることにしたようだ(“方舟” では多分、去る予定の分も居る間あれこれ手伝いをしていただろうし)。 気付いた私に向かって軽く手を振ると見えていた姿を消す。 かれはいずれも若者風の四天使の中でも一番気さくで基本的に解りやす く正直なので(ルシフェルやガブリエル曰く“熱血”なので時折勢いが 過ぎることはあるが)、かれがついてきてくれているのは今の少し不安 を抱えている私にはとても在り難かった。 何となくほっとして、ナンナにも果物の説明をしているルシフェルに向 き直る。 ・・・この気分のまま、普通に戻れればいい。 そうしたら、ルシフェルを心配させることもないし、これ以上思い悩む こともないんだ。 しかし。 ・・・・・ルシフェルが“優しい”ことを忘れていたわけではないが。 確かに私の様子がヘンだなと思っただろうものを、サポート役を責務 と自任するかれが全くそのままで“スルー”してくれるわけはなかった。 *** 『イーノック』、と。 声ではなく思念のようなもので聞き覚えのある“音”と認識出来る風に 呼び掛けられ、振り向こうとして。 軽い感触が肩に“降り立った”ことに気が付いて顔を向ける。 ・・・黒い綺麗な、それなりの大きさの“鳥”だ。 「・・・ルシフェル?」 確かめるように呼び掛けると、頷く仕草と小さく笑うような気配が返る。 多分、これは“烏(からす)”の部類ではないかと思うが、細部や特徴が 何だか見たことの無い風な印象の、割合すんなりとした形状だ。 天使の時のそれを思い起こさせる深い黒の整った羽の並びが美しい。 「・・・“ひと”に近い姿以外の貴方を、初めて目にしたな」 綺麗だと素直に続けると、かれはくすと笑うような気配で今度はとんと 肩を蹴り、音も無くひとつ羽ばたいて私の頭の上に乗ると座り込んだ。 「そこだと、折角の“鳥”なのに見えない」 頭だけ下げて見下ろすようにするそれの肩の辺りに、つい片手を伸ばし て触れてみようとすると、つんつんと叱るように嘴に軽く手指をつつかれ た。 ・・・。 頭を撫でようとしたわけじゃなくて、羽に触ってみたいのだけどな、と まで考えてはたと気が付く。 いやこれは“鳥”だけどルシフェルだから! ダメだから! 境目がわからないから危険は避けるべ・・・き 直後に、頭の上の軽い重みが消えた、と思ったら。 今度は、胡坐をかいて座っていた私の真ん前に。 “猫”が、何処か神秘的な威風すら湛えて座っていた。 深い色合いも艶やかに、短毛が滑らかにふわと揃う。長尾の黒猫。 ちょん、とその前足を片方私の足先の上に乗せた“猫”から、思念であり ながらも聞き覚えのありすぎる悪戯っぽい声音が、私に向かって細めた 薄赤を帯びた茶色い瞳と共に笑みを込める。 『“猫”は好きか? イーノック』 「・・・・自分で飼ったことは無いが、多分好きだ」 よく慣れた人懐っこい飼い猫のようにゴロゴロと愛想を振り撒いて擦り 寄ったりはしなかったが、かれは猫独特のしなやかな柔らかさを見せて くれるように、歩いて座ったり、掠めるように膝の脇をすり抜けたり、 とんと身軽く膝や腕を踏み台に肩に飛び乗って逆側に降りたりした。 そしてまたふいと唐突に変わる。 『・・・“これ”はどうだろうな』 それは、随分と小さな“蛇”だった。 複雑な光沢が淡く、もう周囲は夜なので光球の形状で少し離れた場所に 浮いていた光源からの光を弾(はじ)き、矢張り見覚えのある色ではあるが 猫よりも見慣れない独特の瞳孔の瞳の頭を傾げて見せた。そして、返事 を待たずにその“肩”の辺りに小さな一対の翼を現出させる。 それは、見覚えのある“天使”の時の翼そっくりで、かれはその縮小図 のような繊細なそれをほんの少し動かすと、私の胸前に多少の距離を 保って浮かんだ。 何となく促されているような気がして左手を開いて差し出すと。 小さく美しい不思議ないきものは、ふわとその上に降り。 細い黒尾の先を中指辺りに軽く巻き付けて余裕の分で掌につけて一回輪 を描き、頭に近い辺りをもう一度擡(もた)げて小首を傾げるかのように 傾けた。 『・・・感想は?』 見蕩れている私を少しからかうように、優しい声音の響きの思念が催促 する。 「・・・蛇には余り馴染みはないし、勿論翼のあるものなど見たのは初 めてだが。違和感が無いどころか、随分と調和するものなんだな」 脚の無い鱗のものと翼有る羽毛のものでは、何だか種類は違うような気 がするが、と口にすると。 “鳥”の脚を観察すると“蛇の仲間の何か”に似ているとは思うんだが な、とかいう抑えた笑いが返り。 それから、先の時のいずれかの伝承には、こういうような“翼ある蛇” の姿をした“神”もあったりするのだと人が歌を口ずさむように続いた。 「その伝承では、こんな黒い美しい色の蛇なのか?」 と尋ねてみると。 虹色だの羽毛に覆われた白いいきものだとも云われているとか、穏やか で優しく知恵ある神だとか、まあ幾つかあるな。という風な答えが返っ た。 私やかれの知る<神>は唯一の存在だが、かれは時折“伝承による別の 話”なのだと、ほかの不思議なものや力有る特別ないきものや、異なる 神々の断片を語ってくれることがあった。 白い翼ある蛇の神・・と、ふと想像する。 この世界の私やかれの知るかの神が、もしもそうだったらば。 白い身体に光を宿す金の翼、沈む黄金の瞳の、とても美しい蛇の神なの かと想像して、つい微笑んでかれにその“イメージ”を語ってみる。 かれは、そんな姿のエルも一度目にしてみるのもいいかもな、と呟くよ うな思念を発したが。直ぐ後に、いや、この<世界>でそうなると私は兎 も角、おまえもナンナも、もしかすると人間が皆そういう姿になるんじゃ ないのか?と疑問が返った。 ・・・。なるほど。蛇だらけ、だな。 「・・・。そういえばそうなるな。 まあ、それも悪くは無いんじゃないだろうか?」 何だか明るい気持ちで笑う。 どういう理由だかはよくわからないけれど、封じたものをかれに気付か れてはいけないと怯えていた風な気持ちが、薄れたような気がする。 ・・・何故だろう。 一連の意図は不明だが、かれが私を気遣ってくれていることがわかるか らだろうか。 ネフィリムとナンナが、話し声に気付いてそろそろ夕飯時だと呼びつ いでにやってきて。 翼つき小蛇に可愛い!と瞳をきらきらさせたナンナは、異変で生まれた 変わった動物ではなくルシフェルだとわかると躊躇などするわけもなく 子供らしい無邪気で両手を並べてつけて差し出したので、掌を近づける とするりとかれはそちらに移った。 ネフィリムも興味深そうに身体をやや傾けて見詰めている。 小さな翼を持つ小さな蛇が一寸胸を反らすような姿勢を保っているのは、 何となくその姿も誇らしげなようで美しくありながらも、小首を傾げるよう にしていた時同様に可愛らしい。 何の話をしていたの?と聞かれたので、それから少しの間、自分がほか の動物だったら何が良いのか?とかいうような話と。 ルシフェルは特別な天使なので普通の天使のように“変化(へんげ)” の内容の入替や追加は行えないが、その代わり基本のそれを加えて 7つあるのだとか、大きさは多少任意なのだとかと。種類は全部で、天使 ・不可視・鳥・猫・蛇・魚・半透明の球体のようなものだということを。 秘密だぞ、と冗談だろう口調でくすくすと笑って話してくれ、かれはふ わと小さな翼で中空に浮かび上がると、何時もの“ひと”によく似た見 慣れた姿に戻った。 ナンナとネフィリムが眠った後。 昼間眠ったためかまだ何となく起きていた私の隣に、ルシフェルが何時 の間にか近寄り、ほんの一人分程だけ離して座っても。 もうかれの近くに居ることがただ辛いような気は起こらなかった。 落ち着いている様子の私にルシフェルはひとつ安堵したような溜息をつ いて、ふかふかしたものに両手をついて暫く黙って頭上を眺めてから。 徐(おもむ)ろに切り出して、あの行動の意図の“種明かし”をしてくれ た。 かれは、私の悩んだ原因が冥界でかれに吐露したあれであるか、又は それが原因でいつかのような“悪い夢”を見て酷く疲れた様子だったの ではないかと思ったようだ。 そこで、あの夢の話の時は遠回しに内容を聞き出そうとしていたそれを。 夢を見たのかわからないけど、とりあえず“気分転換”させようと。 私が“見たことが無く(=ルシフェルの基本以外の姿)”、“好きだと解 っているもの(=“鳥”)”を見せてみたそうだ。 反応が良く、何気なく屈託が無いような様子でごく自然に触れようと手 を伸ばしたので、じゃあついでに“夢の要素になりそう”なものを“良 い印象で追加”してみようと、他のふたつも様子を見ながら変わってく れたとか・・・。 基本の天使状態の翼ですら中々目にすることは出来ない(出すのが余り 好きではないのだろうか)かれに、必須ではない状況でほかの姿に変じ させてしまうとか。それはまあ、一部はかれの時折見せる軽い悪戯心の うちなのだろうけど、本気で心配を掛けたのだと悟って反省する。 ・・・・このままでは、もしかしたらそのうちには、元々あったかれ を好きであることからも逃げようとしていたかもしれない。 好きで、傍(そば)に居たいことに、変わりは無いのに。 落ち着いたのか、もう、あの時の“触れたい”と心臓が次第に痛いほど 脈打つような、その気持ちを抱(いだ)くことへの罪悪感のようなものは、 大分遠く感じる。 ・・・無くなった、わけじゃない。 発端だろう、その唇に私から口接けてみたい、というような気持ちはま だ確かにある。 夜のうちで、低い光量で仕草にたまに朧に透ける上衣のうちのものや、 暗さと黒衣で時に影にも見える全身の輪郭が細いなとも、やっぱり思う けれど。 でも、それは何時もの。ルシフェルの近くでかれの声を聞いて姿を目に して、同じ“場”にいるのが嬉しいという風な。 それを押し退けたりするほど強くは無く。 それらと並んでひっそりと隅に在るような、そんな感じだ。 話が一段落して少し俯いて考え事でもしている風だったその横顔を見 ていた私に。青い月明かりの風景の時のように。 かれの顔がこちらを向いて、どうした?と尋ねてくれる。 それに今度は、いや、いつも有難う、と思って。と答えると。 ほんの少しからかうように、褒めても土産はきっちり等分するからな、 とかれは楽しそうに笑った。 ・・うん。確かに、夕飯と一緒に出された彼のお勧めの“さくらんぼ” は懸念が薄れたこともあったけれど、酸味が少なく程良く癖の無い甘み と新鮮な食感で、とても美味しかった。 私が気に入った様子だったので、イーノックの分の朝食を貰ったからと ナンナが少し自分の分をくれたのも、育ち盛りやネフィリムに悪いとは 思ったのだけれど、気分的に補充の必要性を覚えていたので礼を言って いただくことにした。 同じものを一緒に食べて、美味しいと思える。 “より美味しく感じる”や“はんぶんこ”は、本来人間のような食物や 色々な生活の備品を必須としないかれには中々体得しにくい感覚なのか もしれないが。 それでも、“一緒に食べ”て“美味しい”。 それが互いにわかるなら、それだけで十分だと。 私は冗談の口調で、貴方の分を分けてそこから少し余分に貰うからい い、と笑い返し。 こらこら、とこつりと拳が軽く私の額をつついた。 ・・・かれのお陰なのか。 その夜(よ)の夢は、かれが何故だかみっつの動物の姿で同時に居て。 頭の上に陣取る“鳥”と。 膝の上を占拠する“猫”と。 掌の上に乗る“蛇”が。 それぞれ別のかれの様子(解り難い・穏やか・子供っぽい)の雰囲気を醸 し出しながら、各々(おのおの)が別なことを私に話しかけて来ていて。 私はどれから答えればいいのだろうと迷いつつ。 ・・・残った“楽しそう”は“魚”担当なんだろうかと悩んでいるとい う。何だかひたすら“シュール”な夢で。 翌朝、かれに話したら、ツボに嵌ったのか暫くひたすら肩を震わせて必 死で堪えるようにしながらもやっぱり耐えられなかったのか、堪えるの を止めて吹き出すと、ひとしきり笑っていた。 自分の分の朝食をとり終えて。 ナンナとネフィリムの食事の様子を眺めながら、記憶を思い返してみて どうして私が落ち着けたのかを理解した。 ルシフェルはかれが想定していた原因と実際は違うものの、私が特に気 兼ねなく“好きだ”と思えるものを示して見せ、更にそれは姿は違えど 紛れも無く“かれ”であり。 その認識は、私が“ひとに似ている姿だから執着するのか”と無意識に 強く怯えていたものを払拭してくれたのだ。 “鳥”や“猫”や“蛇”だったらかれを好きにはならなかっただろうか、 と思えばそんなことは無い、のだ。 ルシフェルがリリスの王のように“樹”のようであったとしても、その ほかでかれが今とは何かが違ってはいてもそれでもかれであるのなら、 やっぱり私はルシフェルが好きになっただろうと思う。 まあ、ひとに似たかたちゆえのような欲求を覚えたかどうかまではわか らないが。それでも、好ましく親しく近しいものに触れていたいと思う のは不自然なことじゃない。 勿論、程度の適切さだの相手の意向だの色々諸々はあるわけだけど。 でも、それを“持っていてもいい”んだと思えた。 だから、箱にはしまっておいてもいいけど無理に鍵を掛けたりしようと するのはやめた。 私がいつか、些細なことでかれの機嫌を損ねた時のことを思い出す。 あれは鈍感な私がうっかり引き起こした要素もある食い違いのような事 柄で、この旅が始まったばかりの頃に“完全に解決”したので良かった と思っていたけれど。 もしかしたら、あの“私が『鳥』を特別に好きだ”と語った経緯が無け れば、今、原因も知らずにルシフェルが私を救い上げたような結果には ならなかったかもしれない。 それはまあ、代わりに別の機会に語られた可能性もあったわけだが。 ・・・。 そういえば、三度目にちゃんと会った時も不用意に発言して怒られたわ けで。・・そんなことばっかり印象が強いわけではないんだが、とこっ そり苦笑する。 そっちも結局、後々延々と折に触れて怒られる原因となっていたけど。 きっと、あれのせいで親しくなれたようなところもきっとある。 伝承でも“終わりよければ全てよし”っていうじゃないかと。 本来は暢気で楽天的なほうである私は、改めて気を取り直す。 頑張ろう。 まずは、この旅を私に出来得る限りの結果に終わらせることで。 ほかのことは、それからでいいんだ。 ネフィリムがナンナと私の腕にも描いてくれた“私たち”の落書きを 眺める。安全度の高い護陣の内だから夜休む前にルシフェルが外してお いていいだろうと解除してくれてあった鎧に、再び覆われたら見えなく なってしまうけど。 それで消えにくいなら、そこにあることがわかっていればそれでいい。 お守りのように、落書きのある腕の拳を握ってみた。 8頁← 6頁→ |
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