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17: 『もう一つの月の道』 何となく麻のような色の白い小舟に乗ってみると、小さな声が聞こ えました。 〈ドコヘユキタイノ?〉 それは舟が尋ねたようです。少し考えてから答えました。 「…僕が、いてもよいところへ…」 舟は間をおいて、こんなことを答えました。 〈ソレハ イクツモアルトオモウノ〉 ………もう少しよく考えて答えました。 「……。僕の、帰るべき場所へ…」 了解の気配が届き。舟はふわりと空気の波を淡く散らせて、音も無く そっと舞い上がりました。 「空の海の波間へ」 →22へ |
18: 『月の水の記憶』 こぽこぽこぽ。湧き出す水で手と顔を洗ってから、一掬いして少し 飲んでみました。別に問題はないようです。ひんやりとしていて、少 し、どこか遠いいつかで覚えがあるような気分になりました。 ふと、水の中を覗き込むと底に幾つか小石が沈んでいます。 何気なく、手を伸ばしました。 「届く…?」 →23へ |
19: 『お弁当』 手と顔を洗って弁当箱を開けてみると、中身はナンのようなパンと 木の実の殻に入ったスープと青い林檎でした。いただきます、と食べ ていると、いつの間にか淡い色の鳥たちが一羽、二羽、と間近に舞い 降りて来ました。 鳩のような鳥が、くるる、と置いてあった枝付きのチーズパンを眺 めています。 「食べる?」 →24へ |
20: 『木の実の力』 「これ?」 弁当箱とそれに差したチーズパンの枝を見せると、鼠は枝を指差しま した。 「コレだよ。じゃあ、乗っていくかい?」 頷いて枝を甲板に乗せると。鼠は自身の三倍はあるだろうパンをひょ いと取って差し上げ、河の流れの真ん中に放り投げました。 綺麗な弧を描いたパンがとぷんと水に沈んで暫くすると、河の面が小 さく渦を巻いて、なんだかよくわからないものが現れました。 「??」 →25へ |
21: 『他の道へ』 「そうか…、持ってないんだ」 残念そうに小首を傾げて鼠は言いました。 こちらも残念だけど仕方ありません。諦めて、他のこの先の道を尋い てみることにしました。 「ええと…」 →15へ |
22: 『空の海の道』 舟は淡い光の漣を引いて、空の波間を滑ってゆきます。 「…君は、どういうものなんだ?」 こんなに綺麗な舟なのに、どうしてあの台座は放っておかれたままだ ったのでしょう? 尋ねてみると、答えが返りました。 〈フルイ… ワスレラレタ モウ ダレモオボエテイナイ. モウヒトツノ ツキ〉 「…どこかで、聞いたことがあるよ?」 昔、二つ月があった、という話は幾つか聞いたことがありました。 本当のことだったのでしょうか? それともこことは世界が違うので しょうか…。 でもそれ以上、古い月の舟は続けず、静かに進むきりでした。 「波に散る星屑…」 →26へ |
23: 『地球の石』 手を伸ばした先の水底の小石に触れた、と思った時にふいと懐かし い気分がしました。…青い月光・白い月光・黄色い月光…そして日の 光……… とぷん。 …いつの間にか水に落ちていて、泉の水面は天窓のように上に。 でも呼吸は苦しくなく、手の中の小石が青く明るく光を帯びているの が見えています。 「…地球光(アース・ライト)…?」 どこからか、声が聞こえました。音でない声。 意識がふと遠くなって、握りしめた小石をそのままに、何もわからな くなりました…。 「記憶の届く場所へ…」 →27へ |
24: 『鳥たちの翼』 「…食べる?」 差し出すとわらわらわらと鳥たちが集まってきて忙しく押し合いへし 合いしています。足して置いたナンの残りと林檎の半分も、スープを 片付けている間にきれいさっぱり消えていました。色も種類も様々な 鳥たちを眺めていると、 「くるっくー るっくー るるー」 最初にいた鳩に似た鳥が手の側までやってきてしきりに鳴きます。 「…もうないよ?」 応えると、首を傾げています。周りの鳥たちがわさわさと近寄って来 ると、先程の枝と葉っぱが大きくなって組まれ、いつのまにか敷石の 上にありました。幾つかの嘴が服を引いて呼びます。 「乗れって?…言ってるんだろうか?」 乗ると、色とりどりの翼たちは枝を掴んではばたきました。 「重くないかい?〜」→32へ |
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※ネタ元原典:デビルサマナー「ソウルハッカーズ」(ATLUS)。 勿論ですが個人的なお遊びの落書きにつき、ネタ元の製作会社等には無関係です。 |