9:   『月の羅針盤』

重そうなので動かすのは諦め、よくよく子細を観察してみました。
すると模様に見えた盤面の縁の廻りには何か彫ってあるようです。
「………ツキ・ノ・ラ・シン・バン…?」
月の羅針盤、でしょうか。
「………。月を目標に測る、のか?それとも名前なのかな…」
首を傾げて、もう一度調べると盤面の中に薄く三日月のカタチがあり
ます。何かが剥がれ落ちた様にみえるので近くを捜すと欠片が見つか
りました。

                         「…くっつくかな?」 →13へ  


   10:   『白き道は何処へ?』

…随分長く歩いてきた気がしました。
立ち止まって辺りを見回すと、木立ちがまばらになってきているよう
です。道の先から水音が聞こえるので行ってみると木立ちは途切れ。
広場があって、中央に白石の噴水と、白と黒に分かれた石畳の円が足
もとに広がっていました。白が多く、黒が少なく、波打った境目で二
つの不均等な半円は真円をつくっているのです。
噴水からは小さな滝が落ち、何処かへ流れてゆく川の源となっている
ようでした。

                              「少し休もうか…」 →14へ


   11:   『河には船か橋を?』

右の小道を辿ってゆくと、木立ちが切れて河の岸に出ました。
道の途切れた先には小さな砂州と岩場があります。
河を隔てた向こう岸には同じような木立ちが続いているようです。
「汽艇は…と?」
見渡した川面ではなく、音に気が付くと足もとの流れに両手に多少余
るくらいの小さな汽艇が波を蹴立てて走り回っています。大層出来の
良い模型だと思って眺めていると、船室から小さな薄茶の鼠が現れま
した。水色の瞳をくるくるとひらめかせて尋ねます。
「お客さんかい?」

                         「…乗れない、と思う…」 →15へ
                            「…君は渡し守?」 →16へ
   12:   『面白い木』

「…うわ?」
左の道の先にあったのは一本の古びた大きな木でした。
その辺の淡い色彩の木々とは違いくっきりした色彩。
枝先には色々様々なものが下がって…いや生っています。
赤い林檎・炭酸水?の瓶・長いパン・手提げ木鍋のスープ…等々々。
魚の燻製や米のおむすびなどもあったりして一寸シュール…。
暫く考えてから、手の届く高さにあった木の葉で出来た手提げの弁当
箱を一つもいでみました。簡単に外れたので熟していたんだろうか。
それと落ちていた枯れ枝についた固そうなチーズパンを一つ貰い、礼
を言って。道は行き止まりらしいので元の道へ戻りました。

                              「最初の道をゆこう」 →10
                                「右の小道へ…」
→11


   13:   『月の小舟』

欠片を嵌めてみると、それはきっちり納まりました。
描線が一瞬浮き上がったように見え、みるまに盤面は曲線と欠片だっ
た部分を残して紺碧に染まります。急に陰った頭上を見上げると、そ
こには白い小舟が浮かんでゆらりと揺れる。
それはゆっくりと降りて来て、足もとに停まりました。

                         「…乗ってもいいのかな?」 →17へ


   14:   『ひとやすみ』

噴水の縁に腰を下して辺りを見回してみると、道はまだ続いてい
るようでしたが、先はうっそうとした森の中へ消えています。
これから先はどうしたものだろうか。
泉の水音に首を巡らすと、透き通った淡い氷緑の流れがゆるやかに湧
いて流れ落ちてゆきます。指先を浸してみると冷たくて澄んでいるよ
うでした。

                          「……飲んでも大丈夫?」 →18
                          「弁当箱持ってたっけ…」 →19


   15:   『水辺の道標』

「あの…、この先はどう行ったらいいのかな?」
尋ねると鼠は首をひとつ傾げました。
「何処へゆきたいんだい?」
この先も続く道があるかどうか尋ねると、鼠は小さな指先で河の向こ
う岸を指しました。
「君が立ってるその道のまっすぐには古い小道があるけど。途中で消
えているかも知れないから…」
向きを変えて、河の上流を指差します。
「道をゆきたいなら、あの先の橋を渡って向こう岸にゆけば、白い石
の道が河に沿って続いてるよ」
遠目に確かに橋が架かっているのが見て取れます。礼を言うと、気を
つけてな、と鼠は笑って手を振りました。

                           「川上へ歩いてゆこう」 →10へ



   16:   『乗船条件』

「…君は、渡し守?」
「そうだよ。乗ってゆくかい?」
楽しそうに答える鼠に、自分はそれに乗るには大きいんじゃないかな
…?と尋ね返すと、鼠は頷いてから、くん、と鼻を鳴らしました。
「木の実を持ってるかい?」

                             「ええと…、これ?」 →20へ
                        「……持ってない、です…」 →21へ





※ネタ元原典:デビルサマナー「ソウルハッカーズ」(ATLUS)。 勿論ですが個人的なお遊びの落書きにつき、ネタ元の製作会社等には無関係です。