◆天界TV人形劇 : 書記官になったネフィリム ◆ 昔々 天にはかみさまとてんし 地上にはにんげんやどうぶつたちが住んでいました てんしたちのなかに地上が気に入って 地上に行ってにんげんと暮らすものもいました てんしとにんげんの間に生まれたいきものは ねふぃりむと呼ばれました かれらはかみさまやてんし そしてにんげんに似た肌をしていましたが かたちはもっと簡単で からだをつくって動かすちからだけで出来ていました こころを動かすちからである あすとらるを持たず にんげんやどうぶつやしょくぶつのように うつわ をもたないねふぃりむは 落ち着くことができず 忘れっぽく そしてとてもさびしがりやでした そんな中に ひとりの変わったねふぃりむが生まれました ねふぃりむの見た目なのに あすとらるを持ち 薄いけれどうつわもありました かみさまは風変わりなねふぃりむを珍しがり 天へ連れて来てそこに住まわせることにしました そのねふぃりむは ほかのねふぃりむのように忘れっぽいところは同じでしたが ずっと覚えていることもあり 丸暗記と書くことがとても得意だったので 書記官という仕事について 覚えたことを書いてまた忘れて覚えて書いて・・ 天の議会の記録を書き続けていました しかし そんなある日 地上では ねふぃりむたちが大きくなりすぎて いろいろなものを食べだしたり 地上に降りていたてんしたちが かみさまに秘密で天のいろいろなものを持ち出していて にんげんたちの様子が変わっていたりして 大変な状態になっていました かみさまと議会のてんしたちは相談して 地上を一旦きれいに洗い流して にんげんやほかのいきものを置き直す計画を立てました が そのとき ふだん殆ど喋ったりしない書記のねふぃりむが言いました 『地上のみんなを流すのはいやです どうしたら止めてくれますか?』 てーぷれこーだー と ぷりんたー という未来の記録装置を合わせたくらいにしか 思っていなかった書記のねふぃりむが喋ったので 議会のてんしたちはとても驚きました かみさまは少し考えてから言いました 『天のちえを持ち出した だてんし は七名 おまえにかれらを連れ戻すことはできるかな?』 書記のねふぃりむも少し考えて答えました 『やってみます それで洪水を止めてもらえるのなら』 かみさまは議会のてんしたちに言いました 『どうだろう ちょっと待ってやってもいいだろうか?』 議会のてんしたちは かみさまがそういうのなら と納得して洪水を起こすのを待つことにしました 書記のねふぃりむには じょうか というちからが かみさまからさずけられましたが ひとりだけでは とても難しい仕事なので かみさまは 天で一番目か二番目かのちからを持ち 普段は時間を旅している特別なてんしを 書記のねふぃりむについていかせました かれは 時間を操作することができたので 書記のねふぃりむが倒れる前に止めたり 巻き戻したりできたのです ちょっと びでおてーぷ みたいですね そのてんしは書記のねふぃりむに言いました 『私は るしふぇる だ 面倒くさいけど かみが言うから手伝ってやろう おまえ 名前はあるのか?』 書記のねふぃりむは言いました 『宜しくお願いする るしふぇる 名前は いーのっく という』 こうして不思議なでこぼこコンビは 同じく神にめいじられた よんだいてんし と共に地上へと旅立ちました (中略) だてんしたちと話をしたり 話が通じなかったり 問答無用だったのでたたかったり なんな というおんなのこ と ねふぃりむのふたりづれに会ったり ねふぃりむたちが真っ黒になって 大変なことになったり いろいろありまして ねふぃりむたちのちからを集めた いーのっく は 姿を変えました 翼のたくさんついたねふぃりむです 『めたとろん になったんだな いーのっく』 るしふぇるが聞いたことのない名前を言いました 『おまえの あたらしいなまえだ 早く天へかえって洪水を止めさせてこい 私は あとかたづけがある』 どこかへ行こうとする るしふぇるに いーのっくは聞きました 『るしふぇるは? ひとりで大丈夫か』 てんしはふりかえらずに答えました 『おまえは 私をだれだと思っている だいじょうぶだ、問題ない』 羽ばたいて天へ向かった いーのっくを見送って るしふぇるは歩き出しました 九つの黒いねふぃりむたちのちからは いーのっくのじょうかだけではまにあいませんでした るしふぇるはおさえるためにいくらかを引き受けたのです そのちからは重く 平気な振りをしていたあしどりはゆらぎます 『一緒にいきましょう』 いつのまにかそばにきていた なんな と なんなのねふぃりむが 両側から腕を支えてくれました 『地の底までは 遠いぞ?』 溜息をついて言う るしふぇるに 『だいじょうぶよ もんだいない!』 聞き覚えのある言葉が返りました そうして 二度とこのようなことがおこらないように 天と地は遠ざかることになりました とおいとおい いつかのものがたり +そのごのはなし+ めたとろんと呼ばれるようになった いーのっくは るしふぇるをみかけないことが気になっていました 元々天にはほとんどいないてんしですが かみさまのそばにいられるようになってからも 会わないのは変でした かみさまにきいてみても 答えてくれません さがしにいくことにきめました たくさんの翼のある今なら 天と地がとても遠くても自分でいけるのです 地上に降りてみました いろいろ聞いて歩きましたが みつかりません いつか行った地の底まで降りてみました なんな と なんなのねふぃりむに会いましたが るしふぇるはいません なんなはあのときの事を話してくれました 『ずいぶんかかったけど ここについて黒いかたまりは置いていったの』 冥府はにんげんがたましいをきれいにするところです かなしい つらい きらい うらやましい ほしい こわしたい つよく持ち続けるとよくない気持ち 真っ黒いかたまりも ほかのものといっしょに みずにさらされていつしか薄くなっていきました なんなたちに見送られて地上にもどります 地上をかぜが吹き渡っていきます 見渡す風景はどこかあのときを思い出して 旅をしているのかもしれない いつものように時間のなかを そうも思ったけれど どこか落ち着かないのです 呼ばれているような そんなきがして そこでふときがつきました 探していないばしょがあることに 天にはとじられた場所があります あのとき 連れ帰られた七のだてんしたちがいるばしょや そのほかいろいろなものがあり 普段は番をするもの以外たちいることはありません そのかたすみにひとつの空間がありました 透明な結晶が静かにたたずんでいます そのなかには くろっぽい姿がみえました 『るしふぇる?』 呼んでみても 答えは返りません 伸ばした手で ぺしぺしと氷の化石のような表面をたたいてみても 眠っているような様子から変わらなくて いーのっくがとほうにくれていると いつのまにか かみさまが後ろに立っていました 『このこは 黒いものをおくるあいだに つかれてしまったんだよ てんし だからね』 てんしはふつう長いことひとつの強い感情を持ち続けたり こだわりすぎたりはしないのです さいしょは面倒くさがっていた旅の間に いーのっくや地上のいきものたちを気に入ったるしふぇるは かれらをほんとうに助けてあげたいと思い 最後の片づけをひきうけました でも その黒いかたまりは てんしがいだきつづけるには あまりに重い重いものでした 『るしふぇるは しんでしまったのですか?』 いーのっくはかみさまにたずねます 眠っているようにしかみえないのに めをあけないなんて 『しんではいないよ ほんとうにしんでいたらもう形はない ただ・・』 てんしとしてはなりたたないのだと かみさまはいいました あの黒いかたまりをもち続けたから 変わってしまったのだと いーのっくは また ふと呼ばれたような気がしました そして かみさまにたずねます 『るしふぇるは にんげんには なれませんか?』 かみさまは すこし考えて答えました 『そうしたら いまのこのことは きっと変わってしまうけど それでもいいのかい?』 かみさまは 動かなくなってしまっても いまの るしふぇるが好きでした とても特別なてんしは二度と作れない だから水晶のなかにひつぎのようにとどめたのです でも いーのっくは言いました 『るしふぇるは 地上やにんげんをほんとうに好きになってくれたから あのなかで笑ってくれるなら 変わってもいい』 かみさまは溜息をつきました お気に入りを手放すのが惜しいのはにんげんとかわらないのです でも いーのっくの考えは気に入りました 『そうだね 仕方ない ・・・おまえも一緒にいきたいんだね?』 いーのっくはすぐにうなずきました 『では・・ おまえたちの そのちからを代わりにしようか』 かみさまが軽く片手をあげると いーのっくの姿と水晶は消え かみさまのかたわらにはひとりのてんし まえには ふたつのひかりがありました 『・・どこがいいかな そうだ あのこが気に入っていた時代のどこかに』 ふっ とかみさまが息をふきかけると ふたつのひかりはどこかへ消えていきました 『さて 行こうか メタトロン』 かみさまの声に かたわらのてんしは頷きます 『はい』 レモン色の肌に黒い髪 薄いあかと海の碧の目 二つづつの面影を残したあたらしいてんしは かみさまと一緒に立ち去って行きました そして いつかの地上・・・・・ 「・・・飯野! おまえはほんとに話を聞かないな!」 午前中の、通学時間にはやや遅い時刻。 桜も散った春の道を慌しく駆けてゆく人影がある。 「そんなこと言ったってあれは仕方がないだろ 流司(るし)」 「・・下の名前で呼ぶなって言ってるのに・・・」 げんなりした表情で言い捨てて速度を上げた姿に、 もうひとりは難なく並んで笑う。 「大丈夫だ、問題ない!」 「〜〜大丈夫じゃない!」 わあわあと賑やかに走り去っていくかれらの頭上に影を落として 一羽の真っ白い鳥が空高く飛び去っていった。 END. A:「イーノックがネフィリムだったら」 B:「公式設定ルシフェル情報」 C:「冥府イメージが<空色勾玉>」 D:「ネフィリム吸収でメタトロン説」 E:「現世END」 以上、色々混ぜすぎたらこうなった・・orz 元々のネタは、シリアス文用のネタが纏まらなくて悩んでいたらポロッと転が り落ちたものすごく暢気でアホな絵ネタ(ネフィリムの見た目のイーノックが 神に気に入られて書記官になるが、面白がったルシフェルが洪水阻止について いき、メタトロン化の後に更に変化して人間型になるという御伽噺調のオチ。 ネフィリムなのにまゆげあるわ、てんこに1房だけ金色の毛が生えててルシフ ェルが色んな結びかたして遊んでるとか)で放置中で。 天界TVネタにしようかと思って書いてみたら脱線してしまいました。 終盤でルシフェルが天で水晶の中にいるのは、コキュートス(氷の川)+天のど こかに封じられてたネタがあるとかどーとか+水晶は氷の化石、に探し物は灯 台下暗しという青い鳥ネタでした。 ネフィリムの目はゲームでは水色統一っぽいですが、イーノックネフィリムは 海の碧色で色違いということで。 ここまで読んでくれたかたありがとう&色々大変スミマセンTT 20101212: ---------------------------- +以下1215追記の戯言です ちょっと鳥類図鑑を見て →うぃきぺの「鳥」でそういえば鳥と竜は近かったとか思い出しつつ →ついでにうぃきぺ「天使」を見に行くと 『ヨベル書によると、アダムの家系は代々天使と人間の間に生まれた娘と結婚し、 その一族エノク・メトシェラ・ノアなどが生まれた。』 とかさらっと1行で書いてあって笑! ・・どの資料のどのネタ採用したか&なにで補完したかによってはフラグ折れて いないのかもしれない気もしてきた。 しかし↑を見て真っ先に思い出すのがDQの天空の民とかw ついでに蛇足。 ↑の現世ENDの上の名前は雨束(あまつか)。←天使+傘 飯野君の下の名前は不明。 外見年齢情報0にしたので小学生〜大人まで推定任意。 ---- ※上記の文中では「ネフィリムはエーテルのみなので不安定」という勘違いの 状態を反映して書かれています。元々の情報は、「殻+エーテルまでしかない」 なので基本篇のほうはこちらで設定。 |
ネフィリム.verいーのっくは絵にしてみたかったので A/B両方とも落描きしてみました |
ルシファー由来?関連めも/覚書目次/筐庭の蓋へ |