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仕事道具の荷解きと確認も全て済ませ、何時でも出掛けられる状態にし
てから愛用のノートパソコンを起動する。依頼元のヴァチカンに現地に到
着したことを報告して、追って知らせるということだった詳細情報を確かめ
ねば。
しかし。キーを叩き始めて間も無く唐突に廊下側、部屋の入口のドアがド
ンドン!と無遠慮な音を立てる。
「チェリー!! 俺だドアを開けろー!」
「・・・マスター・・・」
・・・頭痛がしてきた。
煩わされないようにと思ってシングルを取って部屋を分けたのは失敗だっ
たかもしれない。到着後間も無く出掛けたいと言い出すのに釘を刺したと
いうのに、外装をカモフラージュした棺をぽつんと残して夕刻の部屋は何
時の間にかもぬけの空になっていたのだ。
長期滞在予定だからと気を抜かず到着時間を日中に合わせればよかった
・・・ッ。自分の迂闊さを心底悔やみつつ怒りを堪えてドアを開ける。廊下
で騒がせておいたら迷惑だ。
「初日っから勝手に出歩かないで下さい!
言葉も通じないのに迷子にでもなったりしたら」
叱りつけようとした言葉はボフッ!と勢い良く顔面に飛んできた柔らかな
厚みのあるものに遮られた。
「土産だ。」
ぽろ、と落ちたものは・・白と黒の丸い輪郭の動物のぬいぐるみだった。
床に墜落していくそれから視線を上げると、目の前には嬉々として荷物を
抱えているマスターが立っていた。
真新しい艶々とした生地のこの国の民族衣装を纏い、束ねた黒髪の落ちか
かる左肩からは荷物の詰まった肩掛け鞄と腕には先程のものよりも大きな
白黒のぬいぐるみ、右腕には幾つもの手提げ袋が掛かっている。
どう見ても満喫中の観光客以外の何者でもない様子のきらきらと輝く瞳と
上気した頬で、弾んだ声が楽しそうに続けた。
「可愛かったぞ“パンダ”とかいうの!
お前も来れば良かったのに」
「・・・・・」




一章「幽宮のヘリオガバルス」の一場面
・・・を推測補完入りで書き出してみました。
文が死滅しててひたすら申し訳ないlllorzlll


「勝手に出歩く」「迷子に」+「お前も来れば良かったのに」ってこういうことか?
ハンドブック程度と英語で何とかしてそうなレイフロ・w・
そういえば何語が喋れるんだろう英語以外に。


20110816:



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