ももたま読んでチラホラ見掛ける二人に 少々血迷ってVas本編設定を持ち込んで捏ねてみた ・・結果の惨憺たる有様・・・・lllorzlll マジでなんでもおkというかた向けです・・・ |
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花の香りと甘い果実の柔らかな香りが漂う、緑豊かで暖かな南海の孤島。 樹の枝に腰掛けて晴れた空を眺めた。 ・・・もう、“此処”での時間は年が二度も巡ったというのに。 度々ふと、やっぱり夢を見ているような気分になる。 この俺が普通に太陽の下で過ごしているなんて。 「・・・マスター!」 聞き慣れた声が下から掛けられて、見下ろすと相変わらず“制服”をきっ ちりと着こなした姿が見上げている。 「・・何だよ。 今日はもう“お仕事”は終わったのか?」 ひょんなことから二人纏めてこの“異世界”に突然放り込まれた時は色 々戸惑ったのだが。 日本だと思われる街並みに、“日本語”を話していると思われる相手に何故 か支障なく言葉は通じ、俺は陽光に照らされても何事も影響が無かった。 更に、幸い・・・と言っていいものかどうかわからないが。 とある“島”の“新入生”を選ぶ“識別のハナ”に引っ掛かったようで少々 特例で声を掛けられ。特に先のあても無く、本能が差し止める気配もしな かったので、『輸血用血液を必要な分だけ供給すること』『俺達を意志に 反してバラにしないこと』という絶対条件を提示した上で渋るクリスを引 き摺って話に乗った。 ・・・孤島の内の“治外法権”。 小さな小さな風変わりな“独立国家”。 新入りの導入口として“学校”の形態を備え、外部とはほぼ隔てられ理由 の無い出入りこそは許されないものの、その分、居住区ではそれなりの都 市並みの設備も有している。 “学生”は学舎を仕切った二人部屋を割り当てられていて、“二年生”に 進級が適い、更に一年経過すると希望と能力に応じて自分の家を持ったり 店舗で商いをすることなども可能になる。 俺はクリスと同部屋さえ維持出来るのであればざわざわと賑やかな“学生 寮”もそれなりに悪く無いと思っていたんだが。長年“一般人に正体を隠 す”ことに始終あれこれ腐心して来たクリスには、匂いも音も雑多なこの 環境は非常に落ち着かないようだった。 元々、決まったことに専心するほうが得意な性格なこともあり、“システ ム”を把握すると“属性能力”を使いこなし功績を上げることに邁進して いった。 ・・まあ、“自分の家を持つ”っていうのは一種の自己確立だからわから ないとは言わないが。 全く、最初散々あれこれ胡散臭がっていた癖にどうしてこう何かを思い込 むと殆ど気にしなくなるんだろうな・・・。 初めの頃は、まだ状況も余り掴めていなくて。 特に俺が自分と同じ日中に、陽の光の中に居られるというのがどうしても 信じられないようで、本当に大丈夫か具合は悪くならないかと度々困惑し たように様子を見ていた。 ヴァンパイアでなくなったわけ・・ではない。 陽光に影響を受けない以外はおおまかには以前と同じだ。 糧として血液を必須とし、大蒜(ニンニク)も海も苦手だし、銀鎖に囚われ たら身動きは出来ない。 ただ、ある程度まで力が抑えられているようで、望む形状の衣服を纏うこ とや多少浮遊することは出来るものの、蝙蝠変化することや翼を背に現す ことは出来なかった。それほど大きくない島の内とはいえ、特別なアイテム を使って“属性”を発動しないと飛行出来ないのは少々ストレスだがまあ仕 方が無い。 代わりのように“棺”は必要でないのでまあ差し引きというところか。 お陰で高い場所に座って辺りを眺めるのが習慣のようになってしまったが。 「・・・いえ、少ししたらこれからまた戻らなければならないのですが」 予想通りの台詞に、俺はふーんと気のない素振りでそっぽを向いた。 ・・・ああ、まだクリスが此処に慣れていなかった頃は良かったな。 明るい海の色や鮮やかな草木や花を、同じ光の中で一緒に目にしていると いうただそれだけで、クリスがこっそりすごく嬉しそうにしているのを幾 度も目にしたり気配を感じることが出来たのに。 今では中々暇が無いこいつは、一緒に昼間に散歩することすらろくに出来 ないのだから。 「・・・・・あの、そこへ行っても?」 機嫌が良くない俺に、クリスが躊躇いがちに尋ねる。 ・・・あれ。 放置すると拗ねるからと、毎度の様子と顔を見に来ただけ、じゃないのか。 「? 随分、殊勝だな」 ま、いいけど、と頷くと。 軽い仕草で地を蹴ると一足飛びに俺の座っている近くの枝に飛び乗った。 片膝をついて姿勢を安定させ被っている制帽を取って軽く頭を振ると、切 り揃えられている前髪がさらりと揺れる。 ふ、と小さく息を吐くと礼を取る仕草のように胸元に帽子を持ったまま俺 のほうに馴染みの硝子越しの視線が向く。何と言ったらいいのか言葉を惑 っているような表情と気配がして。 「・・・。 マスターは“寮”が結構気に入ってらっしゃるようなのですが。 元々は、ああいう賑やかな住まいのほうがお好きですか?」 ・・・・・・。 「・・・どうだろう、な。 ああいうのも居心地は悪くないぞ、退屈はしないしな」 それに、とからかうようににやと笑いを向けて続ける。 「・・前の家の時みたいに、殴り込んで“騒がしく”する奴がいなきゃ、 俺はどうしても人里に住めないって訳じゃ無いんだし?」 「・・・・・・・!! ・・・・・・・・・・・・」 一瞬で顔に血の色を上らせた後、目を伏せて無言になってしまったクリス をちらと横目で眺める。 あそこに移るまでは色々な条件の場所を点々としていたわけだし・・・・ 本当はまあ、他の理由もあれこれあるわけでその原因(ワケ)だけじゃない んだけどな(むしろ前のあそこが人里はなれた場所だからこそクリスも遠慮 なくぶちかましてくれていたわけで、派手に殴り込まれたくないなら逆に人 里真っ只中に居を構えればいいのだ)。 俯いている瞳に悄然としたようなものが見て取れて、一寸意地悪だったか なと思う。 端から見れば殺伐極まりないだろうが、あれはあれでクリスの時折の精一 杯の“干渉”で、俺にとっては大事なものだったから。 「・・・・。 でも、“おまえの家”は居てやってもいい程度に悪くないけどな。 ・・・・・・・・狭いケド」 ぼそっと最後に付け加えると、もう一度頬に血の色を上らせたクリスが少 々ムキになったような表情になる。 「・・・あれは“普通程度”でしょう! ・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・ええと、ああもう。 何を言おうとしていたのか・・・・」 額を抑えて軽く呼吸を繰り返すと、はあと溜息をついた。 それから、諦めたような仕草で首を振り。 腕を伸ばして俺の片手を掴むと、ポケットから何かを取り出して掌に載せ て握らせた。 「・・・ん? なあ、コレな・・・」 問い掛けた声を遮るように、唇に片手の先が覆うように軽く触れて。 真摯な眼差しがこちらをじっと見ていた。 「・・・。 落とさないで下さいよ」 布手袋に覆われた指がそっと離れて、帽子を元通り被りなおした姿が再び 一足飛びに地に降りる。 「・・・シフトの関係で当分、日中は中々時間が取れそうに無いんです。 夜でよければ、散歩にお付き合いしますよ」 では、また。と短く、見上げた目顔とで挨拶を告げるとクリスはそのまま 足早に立ち去ってしまった。 「・・・・・」 掌を開いてみると、幾重かに折り畳んだ紙の中に何か硬い感触のものが包 まれている。 無地の白い紙を開くと、簡単な手描きの地図。 挟まれていたものは一本の、銀色でどこにでもありそうな鍵。 これって・・・先刻(さっき)の話の続きで。 クリスの努力の結果で・・・つまり。 「・・・・・・。 ・・・・・・・・・・ ・・・チェリーのばか」 照れ臭い。 なんか物凄く照れ臭いんだが!! ・・・・・なんなんだもう。 どうせ、そんなつもりもないんだろうが。 溜息をついて、幹にことりと頭をぶつける。 「・・・・“トウゲンキョウ”か」 桃の花咲く、夢の郷(さと)。 此処は、伝承で訪れたというそんな一時(ひととき)の安息の場所なんかじ ゃないんだが。 それでも俺には、ひとつの心配事から解放されて、叶わない筈の明るい色 の光景にも浸れる甘い夢のような時間をもたらしてくれる。 でも、これが本来の“世界”ではないことはわかっているんだ。 そんな都合の良い夢に、負っていた業から何時までも逃れて居られる筈は ない。 ・・・それでも。 “一炊の夢”かのように。 もう少しだけ。 “ペルシアの林檎”の実るこの箱庭で。 太陽の光を弾(はじ)く、おまえの髪の色を隣で見ていられたら。 *** 「・・マスター!!」 叫ぶような声が聞こえて、抱き起こされた感触が伝わる。 「・・また“配分”をいじりましたね! あれ程無茶をしないで下さいと、言ったのに・・・・」 「・・・だって、おまえ此処だとそこそこ“強い”から。 こんな時くらいしか、役に立てない・・だろ?」 「何を、馬鹿なことを・・・。 貴方が居ないと、私が命を繋ぎ止められない事をお忘れとでも?」 声の底のほうに酷く辛そうな響きが混じるのを感じて、宥めてやりたくて 手を伸ばす。 少しぼやけた視界に映る、自分の右の手首に嵌ったロザリオのような形を したもの。 深緑の艶やかな珠を連ねて、鈍い黄金の十字が下がるそれが。 ヴァンパイアの呪縛とも長い時間で培った何かとも違う形で、俺とクリス の魂を直接繋いでいる。 「・・・。 少し眠って、メシを食えば治るから。 ・・・・・・泣くな、クリス」 「・・・・・・・・・・・ 泣いてません!!」 吐き捨てるように口にして、周囲を確認するように見回したクリスは無造 作に片腕で俺を肩に担ぎ上げた。 「周辺は大丈夫そうなので一旦下がります。 雑務を片付けたらお迎えに上がりますから、おとなしくしていてください よ」 「・・・うん」 ・・・・・おまえに嘆かれるのは何時も心が痛むけど。 それでも、この夢に居る代償がこんなことなら。 それら全て、なんてひたすら甘い痛みだろうかと思ってしまう俺は、やっ ぱりどこかおかしいのか。 そんなことを考えて、ふと思いを馳せる。 『ますたーといっしょなら どこでもいいよ』 と言った幼い声と同じように。 俺もやっぱり、おまえと居られる場所なら何処でもいいのかもしれないと。 胸の内に遠い記憶の歌が響く。 Which seek through the world, is ne'er met with elsewhere. Home,home, sweet sweet home. (世界中探しても、代わる場所など他にない 家よ、家よ、愛すべき我が家よ) おまえの居る場所が、俺の居たい場所だから。 ・・・それでも帰りたい郷愁のような想いと一緒に。 今はまだ、何処とも知れぬ夢の内に。 |
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無茶が過ぎるってもんよ!?の落書きのようなもの。 あちらの世界のかれらとして考えればこんな面倒なクロス設定しなくてい いんだけど、それだと背景どうすればと思いつつパーツ思いついてしまっ た時点でもうオワt スミマセンスミマセンTT 本来はレイフロさん人間.verだろうかと思いますが(笑)。 「陽光耐性.ver」もありえることに後で気がついt(遅)。 [構成要素ピックアップ] ■魂主は原則一年生しかなれない(レイフロは昇級不可) ■「・・・去年も見た光景だな。」 アレを見られるということは新入生ではない&二度目=滞在3年目に入 ったところ。 ■二年生に昇格後一年経てば本人の希望と実力によって家や店が持て るようになる。(⇒3年目入ったところと計算が合う) ■チャーリーは長衣制服で指示を出していたのでどうやら階級がそこそこ 上と思われる。 ■自宅ゲットの為に頑張った(!)という意味があったらどうだろう。 (この世界のかれらの場合は、同期以外に、別期の入島でレイフロさん のほうが後から来た=“島で出会った”という方向もありカモ?) +元々のこの世界の存在ではなく本編ほぼそのままの彼らだったら? +本編の“半年間”内だが所謂「帰ったら時間は殆ど経っていませんで した」な異世界を想定してみる(ナルニア風味)。 +レイフロに色々変更条件を付加。 +異界・結界内・元世界時間経過ナシなのでバリーは来ない。 +チャーリーは属性適合で単体でもそれなりに強いと思うけど。 魂繋時は委任状態が通常なのかな〜。 ダメージ引き受けは通常70-80%くらい負担しているのを時々パーセ ンテージ弄って過負荷して怒られてるとかね・・。 +あの島の件が解決したらかれらも帰るということで・・。 時間軸は***区切りの手前がももたま本編辺り(三年目入ったところ)で、 ***の後は以前(二年目かな)、の想定です。 --- “主従”状態の操作範囲については、ももたま本編の見本が長門んor九 ちゃんとコウさんしか今のところ出ていないので(44話で多少出てきそう な感じだけど)、「一般例」が同じかどうかはわからない。 (コウさんの場合、特性と性格上のゆえの完全委任なんだろうかと思った んだけどどうなんでしょう・・。 一応、4巻付属の小冊子では「操作中は自己意思では動けない」旨が 記載されてはいますが。) 意志アリで補助(ナビ)つきみたいなのもありじゃないかと思ったんだけど。 (TSのシグナルとコードみたいな〜) --- 桃=peachはペルシアが語源で、ラテン語のpersicum malum=“ペルシアの 林檎”から来ているそう。 題名と末尾の歌詞は「Home! Sweet Home!」(英オペラ歌)より。 20111104: |
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