[Home Sweet home]のおまけ駄文。 だらだらとお気楽小ネタです。 ↑と同設定で新入生時の頃の話ということで。 更なるぐだぐだっぷり& ももたまネタバレ注意。 |
★ | ||
・・・見慣れている筈のものを。 見慣れない位置から、しげしげと眺める。 指先を動かしてみて、もう片方の手で手首や肘の接続部分に触れている と心配そうな声が飛んできた。 「・・・下手に弄らないで下さいよ? ロックは掛けてありますが、射出用のスイッチとかあるんですから」 ・・・。 自分の声が、抑揚と癖が違うトーンで聞こえるのが一寸不思議な感覚だ。 “自分”でも声を出してみる。 「・・・あー、あー。 只今ボイスのテスト中・・・・ ・・・・・・・」 人工の声帯から出ている声、だというのは特に気になる点はない。 よく出来てるな、と改めて思う。 ・・・クリスの声、なんだけどなぁ。 癖というのは染み付いた認識的なものもあるので、やっぱり一寸違うかも。 媒体は同じなんだから、真似すれば近くはなるんだろうが・・。 「あ! ・・・ってことはぁ。 今なら、俺がチェリーに喋ってみてほしい台詞を聞き放題・・と♪」 本人が言うのとはちょーっと違うけど、まあそれはそれでアリだろう。 ふふーん♪と思案しだした俺に、慌てて歩み寄った姿の腕が伸びて掌が 口を押さえる。 「・・私の声で遊ばないで下さい! 取り合えず、今回は試しに変わってみただけなんですからもう戻しましょ う。・・・ややこしいじゃないですか」 あー、自分の顔なのに、ぜんっぜん表情も雰囲気も違う。 “クリス風味”というのは中々面白いかも。 「えー。いいじゃん、折角なんだし、もうちょっとだけ。 昼休みまだ始まったばっかだろ?」 そもそも、事の起こりは目の前で“俺の姿”で少々困った表情をしてい るクリス自身だ。 “殲鬼師(センキシ)”は単体で戦う以外に、“魂主(タマヌシ)”と“魂誉 (タマホメ)”という一種の“主従契約”であるコンビネーションモードが あると知って。 此処が“学校”の形態をしている・・・つまり、その可能性の候補者も数 多(あまた)ありえる、ということに思い当たったらしく。殆ど間を置かず、 どのようなものか、どうすればいいのかを出来る限り調べて俺に“お願い” をしてきた。 ・・・本当は、一寸待たせてからかってやろうかとも思ったんだが。 あんまり真剣だったので、思い詰めて悩んだら流石に可哀想なので止め ておいた。 “契約”の条件自体は簡単だ。 相互がそれを許容して、“魂主”になる側がその素質がありさえすればい い。 そして、“属性”を発動するときに使用するアイテムを重ねた互いの手の 間で小刀のような形状に変容させ、“魂主”になる側が相手に“刺す”こ とで“魂結(タマムス)び”と呼ばれる過程が完了する。 まあある意味では、“騎士”の剣の儀式みたいなものだな。 そして、その“主従契約”を結ぶと、ダメージ配分などの条件設定等の 他に、“ソウルチェンジ”と呼ばれる魂の交換が可能になる。 本来は危機回避の為の仕組みらしいのだが、公然と別の用途で活用して いるケースもあるのでその辺りは任意のようだ。 「そういや。 チェリーは、“俺の身体”には興味無い、のか? 何かこー、させてみたいこととか〜」 触り放題だし?と、“見本”に片掌で頭の横を撫でるように艶のある真っ 直ぐな金色の髪をさわさわとしてみせると、ぐっ、と詰まったような声を出 してから怒った風な顔になる。 「誤解を招きそうな言い方をしないで下さいッ! ・・・・・・・・・・・・・・触るのは、普段のでも十分です」 ぼそっと小さく呟かれて、俯いた面(おもて)が薄らと赤味を帯びているの に、ああ、俺が顔色を変えるとクリスにバレバレなのはこういう感じなの ね・・・と少々客観的に眺めてみた。 クリスは俯いた拍子に何時もの黒シャツの前が開きっ放しなのが目に入 ったのか、ぶすっとしたような表情でボタンを留めようとしている。 「・・・あぁ、そうだ。 おまえ、それ“着替えさせ”てみればいいじゃん。 “俺”の状態じゃないと出来ないゾ〜」 くっくと笑って促すと、はた、と気が付いたようでまじまじと両手と、自 分の姿を見下ろす。 「・・・・・。 ああ、成程。 そうでした、ね」 顎に指を添える仕草で、生真面目な面持ちになって少々考え込む。 まあ、本来の状態では翼を出すことすら出来ないんだから急にやれと言 われてどうかはわからないが。 期待半分で眺めていると、表情の感じが変わって目を閉じた。 ふ、と深呼吸をひとつ。 しかし、そのまま間を置いても変わらない。 「・・・・。 やっぱ、急にはむ・・!」 言い掛けた時。 ・・・ふわっと空気の質が一瞬変わったかと思うと。 下衣と靴はそのままだが、何時ものシャツ一枚だけだった上衣がゆらと 輪郭を揺らがせて変容した。 薄手だがきっちりとした印象の胸ポケットのついた黒い半袖のシャツの首 元を少し開けてリボン状の同色のループタイを円筒形の鈍い金色の飾り留 めで抑え、勿論裾はきっちりとズボンの中に。 もう一重、フードのついた長袖で前留めの無い、透け織りの軽そうな黒灰 色の腰丈の上着を羽織っている。 「こんなもの、でしょうか。 必要な“パーツ”を自分で作る時と、似たようなイメージでいいんですね。 ・・あとは」 右手の指先に力が集まる気配と共に濃く凝って、掌の上に二つのものを 形作ってゆく。 挟んで留めるタイプのシンプルな艶消しの黒い髪留めで、俺がきっちり 髪を上げる時のように前髪の半分を片側に寄せ、金色の小珠がついた、 茜赤の布を編んだ形状の飾紐で手早く髪を後ろで括り直した。 「・・・・・・・。」 唖然としている俺に、鏡で見慣れている筈の“自分の顔”が“クリスの表 情”で視線を投げる。 「此処は暖かいですから、この程度のものなら着ていていただけますか?」 ・・・・・・・・。 器用なんて・・・・・器用なんて・・・・・・・・・orz 内心一寸凹んでいる俺に、俺の姿のクリスが少し首を傾げて。 やや照れたように微笑むと片手を差し出した。 その手首には、まだ見慣れない、緑珠を連ねたロザリオのようなものが陽 光を受けて仄かに光を帯びている。 「・・・さあ、もう“戻り”ましょう。 やっぱり私は、“貴方”が話す“貴方の声”でないと、落ち着きません」 「・・・・・・。 ま、そ、だな」 交替自体は、触れていたり視認出来る範囲に居なくても全く支障は無い そうなんだが。 ・・・それでも、差し出されたその手に重ねるように手を伸ばして。 「おし、チェーンジ♪」 さあ、“何時もの自分”に帰ろうか。 |
||
★ |
hshが少々重たいネタだったので。 「これはやっとかないとね!」の思いついたネタでだらだらと遊んでみま した。 何時もより割増しで文がもろけてますスミマセンスミマセンlllorzlll 弁当なり食べたり購買に走らなくてもいいなら、このひとたち昼休み丸っ とヒマですよねーと(笑)。 髪紐は“最初の絵”のあれの感じで。 以前結んでいたのを思い出して再現したってあたりかな。 飾りは魔除けっぽく金の小鈴とかでもいいかと思ったんだけど、見習いと いえどもれっきとした戦闘要員なので音のするものは色々マズいかと止 めました; ロザリオと併せると緑と赤と金でなんかクリスマスカラー?になっちゃうのですが、紐が深緑 とか渋緑だと黒髪で沈むか?と。・・この際、飾珠を緑・紐を鈍金にすればセットっぽい?(笑) 20111106: |
目次に戻ります / おまけ頁に戻ります / 屑入の底に戻ります / 藻屑に戻ります |