Vassalord.好きさんへの20のお題 【条件】 ・全て100文字以内で書ききってください。 ・それぞれのお題を必ず文章の中に入れてください。 ただし、語尾を変形させるのは構いません。 ![]() |
1. 主 2. 眼鏡 3. 束縛 4. 犬(狗) 5. 血 6. 十字架 7. 杭 8. 食事 9. 寝る 10. 甘える 11. 子供 12. 捕らえる 13. 舌 14. 100万ボルト 15. 晴天 16. 灰 17. 浴室 18. ペット 19. 祈り 20. えっち |
1.主 主に日課の祈りを捧げていると、その熱心さを俺にも少し分けてくれれ ばいいのにと拗ねる仕草を押し遣って内心溜息をつく。 本当は、天秤が傾き過ぎない為に祈っているのに。 調子に乗るから貴方には教えられない。 |
2.眼鏡 時折見え難そうにするからと、シスターにいただいた眼鏡を掛けてみる。 眩しい陽光の一部を、透明な硝子板で少しだけ遮って。 郷愁を此処に残して。鮮やかな追憶を胸の奥に。 忘れない。この生命が終わるまで。 |
3.束縛 ぐるぐると身体に巻き付いた束縛の銀鎖。 とりあえず悪戯を謝ってみたけれど、素っ気無い振りの横顔。 「こんなもの無くても、おまえから逃げたりしないのに」 茶化したらやっと振り向いて、もう一度叱られた。 |
4.犬 サクラのメンテが終わったとかで、宵闇の公園でチェックを兼ねた犬と 人が楽しそうに遊ぶ。明るい色の円盤を眺めていたら手元に飛んできた。 「マスター、貴方の番ですよ」 ・・・何時から気付いていたんだか。 |
5.血 部屋を漁っていたら折悪しくご帰還で。 慌てて戻そうとした弾みの痛みと、肌を滑る血の匂い。 怒ろうとしたのだろう表情がふと変わって手を取られた。 『ご無事ですか、王子?』 丁寧に掌に口接けられて、固まった。 12.捕らえる 「・・・冗談、ですよ。 今の私は“騎士”の気分ではないですからね」 寝台の上に捕らわれて、首筋には白い刃。 「“悪戯者”には罰と、お伽話の相場は決まっているものです」 相応の搾取を受けた俺でした、とさ。 |
6.十字架 首筋に顔を近付けると、嗅ぎ慣れた匂いがする。 喉で小さく笑う機嫌の良い声が耳の傍で響いて。 私の首の十字架が貴方の肌に落ち掛かる。 それが貴方を傷付ける程の力を持たないことに、今は時折ほっとして。 20.えっち 肌を滑る十字架と珠に、少し擽ったそうに手に取って。 「・・・手と口とは別に、触れられてるみたいだよな。 えっちv」 くすりと微笑う唇が、小さな音を立ててそれに口接ける真似をする。 |
7.杭 「・・俺の心臓に杭を打ち込むつもりか?」 何時か可笑しそうに微笑った表情の意味がわからなくて。 “悔い”という言葉が異国でそれと同じ音なのだと、知ったのは随分後。 ・・・未だに、貴方の優しさに甘えている。 |
8.食事 三日振りに帰還して疲れた様子で。 “食事”はまだいい、とソファの俺の横に座り込む。 寝ないのか?と尋ねたけれど。 「・・・暫く此処で」 寝息が聴こえる頃に気が付いた。成分補給、ね。 頬が緩むのは抑えきれない。 9.寝る 穏やかな寝息に釣られて眠気を誘われる。 俺も、寝ちゃおうかなぁ・・。まだ早いけど。 肩に寄り掛かっている金の髪をそっと撫でて。 「お休み、クリス いい夢を。」 うとうとと、暖かな遠い日溜りの記憶のように。 10.甘える そっとグラスと軽食の皿を片付けて、お二人に毛布を掛けておく。 ふと思い付いてクッションを運ぶとサクラも真似て付いて来た。 ぽふんと置いて猫姿で隙間を占拠。犬は足元に少々不満気に。 こっそり甘える静かな時間。 |
11.子供 宵の窓辺から陽に当てていた鉢植えを取り込む。 小さな王冠、可愛い棘のサボテンに面影を。 永遠に幼い子供。私の小さな姫君。 貴方に嘘をついたことを後悔はしない。 けど、時折悼むことをどうか許していただけますか。 16.灰 形見の灰を持ち帰ったのは、貴女のためじゃない。 そして、本当は半分はあのひとのためでもないのかもしれない。 だから、そこでせいぜい届かぬことを口惜しがっていればいい。 貴女の闇は、もう明けたのだから。 |
13.舌 拗ねた表情と怒った台詞の気配を残して、すたすたと歩み去ろうとする 背。やれやれと溜息をついていると、くるりと顔だけ振り返る。 べーっと思い切り顰められた顔と、馴染みの舌先。 可愛いと思うのは・・不治の病か。 |
14.100万ボルト 次々と夜空に光る雷を指差して、また光ったと子供のようにはしゃぐ。 怖くないんですかと問うと、 「おまえの100万ボルトの親戚だろ?」 と明るく笑われて。・・貴方にも向けた武器なんですよ。 本当に、このひとは。 |
15.晴天 部屋を覗くと、棺の中から身を起こして窓を眺めている影。 声を掛けると目を擦って、小さい欠伸と伸びをする。 「良い晴天だ。散歩に行かないか?」 「・・いいですよ。はしゃぎ過ぎなければね」 釘を刺すのは忘れずに。 |
17.浴室 猫の姿になって、浴室でレイフロ様に頭と手と背中を洗って貰う。 残りは自分で洗ってから、仕上げのタオルとドライヤーとブラシもお任せ。 「よっし!真っ白ふかふか♪」 ご満悦で毛皮に頬摺りされて私も満足だ。 |
18.ペット 何時ものように呼んで、ふと思う。 『ペットの名付けは・・・』 あの言葉が無かったら、私は貴方を何と呼んでいたのでしょうね。 ・・・マスター。 「チェリー?」 「チャーリーですよ。 ああ、言い忘れていましたが・・ |
19.祈り 祈る。 神の庇護下に無い者には不似合いだろうか? だがこれはある意味、人の習い性の一つというものだ。 「マスター? どうしたんですか、・・またぼうっとして」 額に手を当てられて笑う。おまえに幸運がありますように。 |
蛇足を読む |
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