34★:   『おかえり』

「わっ!」
ぐらり、とバランスを崩して椅子から落ちそうになった。
…あれ?
「おい!何やってんだよ、あんたは…」
呆れた風に、慌てて支えてくれた腕の持ち主がぼやいている。
画面では、見事空間を渡って送り届けてくれた鼠くんが、手を振って去
ってゆくところのイラストが表示されている。
「ああ…びっくりした」
ぽつんと呟くと、色グラスを透かして見慣れた眸が不審そうに覗き込ん
だ。
「寝惚けたか?」
「……そう、かも」
やれやれ、と溜息をついて腕が離れる。
…ただいま、と小さく呟くと、首だけ振り返って何だと聞き返された。
何でもないよと笑って、最後のキーを叩いて終わろうと操作盤に手を伸
ばす。 後ろで一つ、溜息が聞こえて。
「…おかえり」
そのまま、背を向けてやりかけの作業に戻って行ってしまったけど。

………ほんと、ささいなことだけれど。
応えてくれる君だから。
だから、此処に帰りたかったんだ。本当に…。
辿りつく先は、還るところ。
…君の声の届く場所。

fin.



20010703TE・up:



手の中にひとつ、懐かしい色の星。













風と地と水と。草の香を探しにゆこう。



最後まで来て下さって有難うございますv
こちらはもうひとつの終幕です。
此処に最初で辿り付いたかたは、ひょっとすると散歩の方式が似ているかもしれません(笑)。

他に基本の終幕が御座いますし、それぞれの道での途中の経過は貴方次第ですので。
気が向かれましたらまたふらりと散歩してみて下さいませ♪
ではでは、お疲れ様でした。有難うございます。
足元にお気をつけてお帰りください。


        箱の外へ           もう一度散歩してみる



※ネタ元原典:デビルサマナー「ソウルハッカーズ」(ATLUS)。 勿論ですが個人的なお遊びの落書きにつき、ネタ元の製作会社等には無関係です。