■これは「PSIアドベンチャー」関連の過去の駄文です。
  
   NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の死亡時の際のフォロー文(結果を元に自分で書いてみた駄文偽文や、
  アクション(行動)をかける際に状況説明や詳細補足等の為につける文のことをうちではこう呼んでいます。
  この文の場合は結果を元にしたアフターフォロー偽文)ですので。
  『ぎゃぐ以外な死にネタは嫌です;』というかたは退避して下さいまし;



 新大島・霧雨探偵事務所 その後


「…あ…?」
瑚透が、ふっと何もない眼前を見つめた。
「どうかした?」
近くにいた青年が不審気に尋ねる。瑚杜はすう
っと視線を流して彼の真っ赤に染めた髪を範囲
に捉えた。
「………。何か」
が。そのまま向こうを向いてしまう。残るのは、
赤い、残像。
「ご免。ーーー此処一寸頼む。代わりのひと呼
ぶから」
「お、おい??瑚杜?!何処行くんだよ〜」
「分からない…けど。行かなきゃ」
「はぁ〜?」
「後宜しく、八咫(やた)」
表情と仕種で謝罪を表すと、瑚杜の姿はすうっ
と薄れてその場から消えた。
「…どうしたんだよイキナリー。もぉぉ、説明
してけ!」
取り残された青年は少々短気を起こして、ガシ
ガシとグラデーションな髪をかき回していた。

『青透!』
「ーー瑚杜?」
室内にいた青透が振り返って窓から見下ろすと、
下に片割れが立っていた。
「………。今行く」
三階の高さも構わず身軽く側に飛び降りる。
「……どうした?」
何処かで共通の感覚が伝える。落ち着かなかっ
たのは二人とも元よりだ。
「ーーー行って、みるか」
頷いた瑚杜に応えて、青透が空に視線を向けた
所に氷川小槙が慌てた様子で‘跳んで’来た。
「一寸、どうしたの?二人共」
交互に双子の顔を見比べる。瑚杜が答えた。
「…行ってみたいんだ。どうしても、何か…」
曖昧過ぎる言葉だったが、小槙には理解出来な
い訳では無い。
「あっち?後を追ってみるの?」
頷いた青透を見て、彼女は僅か考えた。
「じゃあ、私も行く」
双子は無言で見遣ってから顔を見合わせたが、
一瞬おいて向き直り、了解の印に揃って頷いた。

「…誰もいない、みたいね?」
用心してかなり離れた位置から所定の場所を
窺っていた小槙が隣にしゃがんで周囲を観察し
ていた瑚杜に告げる。
「周りにも気配は特に、無い」
言い切って瑚杜はすっと立ち上がり、小槙も立
ってみる。
「……」
少し遠方を見て来た青透が戻って、片割れの表
情に目を遣った。それに気付いて小槙も彼の顔
を見上げる。ーーーー無表情…?
「ーーー小槙ちゃん…。行く?」
前を見たまま動かない碧(みどり)の瞳。口だ
け動いた。人形の様に白く見えるな、と小槙は
思ってからふと気付いた。蒼白を通りこして白
いのだ。
「……………。どうし、たの」
足が震える。考えたくは無い。無いけど…
「ーー紅い、よ」
ゆらりと、陽炎の様にゆっくりと瑚杜の輪郭が
ダブる。行く、と小さく呟いてかき消えた。
「…。私も、いく」
…どうする?という様に青透が差し伸べた手を
取る。見たくない、行きたくない、でも知りたい
………。行かなければ。
とん、と地を蹴って緩く空を横切る。青透が腰
を支えた手を放して、扉の前に足が着くまで
一瞬。
ーーー膝をついてやや俯き加減の瑚杜。室内、
辺りの床を、瑚杜の服の膝を、一歩だけ入って
いる青透の足先にあるのは…何?赤?いえ、黒
い…?
「…ヤな事は、当たるって?」
青透が近寄って逆から膝をついたのについて、
小槙も側に寄った。瑚杜の伏せた瞳は、じっと
目の前の現実を見つめていた。
「おじい」
小槙は身を屈めて、そっと指先で触れてみた。
もう冷たい。弾痕に当たって、反射的に引きそ
うになった。でももう一度手の平を伸ばした。
何時も優しかったその手も…動かない。

      *********

何処から調達して来たのか、瑚杜が香油を布
の上から掛けた。手渡した順に掛けて瓶は空に
なった。
「…」
無言で促す瑚杜。青透と小槙は遺体の上に手を
差し伸べて、ふわりと炎を落とした。小さな火
はぱっと燃え上がって全体を包む。煙は余り出
なかった。
ーーーすっかり燃え、掛けた布ごと黒い炭
になった遺体を見下ろして瑚杜は何か一言呟い
たが、それは青透にも聞き取れなかった。瞑目
して手を組んだ瑚杜が目を開いた途端、‘それ’
は細かな砂状の灰になって砕けた。
「ーーさよなら」
草を戦がせてゆく風に乗って、黒褐色の欠片
は流れて行った。見上げた三人をそこに残して。
「また、ずっといた人が、いなくなっちゃった
ね」
ぽつん、と小槙は呟いた。
「うん…」
青透が返事をする。鬼やんまが飛んで来て、瑚
杜の肩先に停まってから、風の行く先を追って
行った。六つの瞳がそれを見送る。
野辺送りにも似た、静かで確実な、儀式だっ
たーーー
19970821:


 補足:能力者の能力は一応六種に分かれてまして。
     双子は青透(せと/家人のPC)が瞬間移動・念力・思念発火、瑚杜(こと)が瞬間移動・千里眼・予知でした。
     (残りの一つは思念爆破)。勝手に伝心は出来る事にしていた(笑)。

   
 (能力同士の掛け合わせも出来ますが一人でやるのは危険、つうことで。あと能力数が少ないほど力は強い
     (ので双子はよくも悪くも程々;))。使いようで応用が利くのですが具体的に考えるのは向いてないと
     かーなり難しかったです;主に防御系に頭を捻ってはみた。青透はスケボーを使っていたので念力で滞空時
     間を長くしたりとか、としょっぱなからやっていたりしてその延長で終盤に飛行を可能にしていました(笑)。

    
 (文中で瑚杜が思念爆破を使用してますがコレも↑と同じに終盤で増えた。

    
 この短文の時点では途中数年間の時間経過があった後で、前半14だった双子は青年期に。
     小槙ちゃんはPC。
     八咫はオリキャラでパンピー(能力者でない)。同じ組織にいて歳が近いので割と親しいほう、みたいな
     かんじの設定でした。
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