ある土曜の午後。
いつものようにアジトの扉を開けようとしていると、目の前でそれはス
ライドして慌ただしく出ようとしていたシックスとユーイチにぶつかり
そうになった。何だか用事の時間に間に合わないとかで、苛立だし気な
シックスはユーイチを叱りつけて先に行ってしまった。
叱られた人間はといえば、
「ごめーん、スプーキー!! PCの画面つけたままだけど、ゲームだ
からそのまま閉じても遊んでみてもいいから〜!」
言い残して急いで後を追って駆けてゆく。その勢いと元気の良さに、思
わず微かに苦笑して手を振って。
閉じたドアを背にPCに向かい椅子に座って見た画面には、綺麗な色
調の背景の上、文字が映っている枠が一つあった。
ディスクスロットには一枚のFD。
…とりあえず、最初から見てみようか。
表示されていた枠を閉じ、もう一度開く為にキーを軽く叩き出す…。






   1:   『銀河庭園』

いつの間にかそこに立って居ました。
辺りは夜の只中で、遠くから近くから、微かに鳥や虫の声が響き、木
々は葉擦れの音を風に乗せています。
木々も草も柔らかく白色系の濃淡を帯びて不思議な光景です。
足もとには白く天からの光を受ける石畳の道がありました。
「此処は何処なのかな…」
さてどうしましょう?

                  「とりあえず道をまっすぐに…」 →2へ
                 「振り返って進んでみようか?」 →3へ


   2:   『木漏れ月』

空には星がよく見えるようでした。
「木漏れ日じゃなくて木漏れ月だね」
さらさらと木陰を透かして纏い付く白い光と風は心地好く、まだ暫く
歩いていってみることにしました。

                         「そのまま先へ…」 →4へ
               「木立ちの中へ入ってみようか?」 →5へ


   3:   『話す花たち』

暫くゆくと花壇のあるところに出ました。
淡い色合いの様々な花が咲いているのを、近寄って眺めようとすると
頭に直接聞こえる声で、一輪の青い花が尋ねました。
〈何処へ行くの?〉
周りの花々もさわさわと囁きました。
〈何かさがしてるの?〉

                      「ここは何処なのかな?」 →6へ
                              「ええと……」 →7へ


   4:   『光の足音』

どこまでも白い石畳を歩いてゆくと、何だか柔らかな静かな気配が
耳元を掠めた気がしました。
立ち止まって振り返るけれど、だれも、いません。
気のせいなんだろうか? ふと足もとをみると、淡く映っていた筈の
影が見えなくなっています。
「…月が上に?」
〈いいや、周りに〉
銀色の声が静かにそっと響きました。
横を見ると、朧な白い輪郭が、淡く淡く白銀の光を帯びて立っていま
す。

                             「貴方は…」 →30へ


   5:   『石時計』

道の脇の木立ちの下草の中に細い小道が埋もれています。
辿っていってみると、奥には小さな石畳の円があって、大きな石造り
のオブジェが草の葉の下から覗いていました。
葉を避けてみると、それは白い石で作られた懐中時計のかたちの物。
針はなく、盤面にはただ、何本かの曲線が浮き彫りされているきりで
した。よくよくみると、台座から落ちてしまっている様です。

                        「戻せないだろうか…」 →8へ
                     「一寸、重そうだな………」 →9へ



   6:   『花たちの言葉』

様々な幾つもの問いに答えるのは諦めて、挨拶をしてから代わりに
一つ尋ね返してみました。
「いつのまにか此処にいて、歩いていたんだけれど…。
此処はなんていうところなのかな?」
クリーム色の細かい小花をつけた花枝が答えました。
〈此処はわたしたちの居場所。 この外は、銀河庭園というの〉
礼を言って、また歩いてゆくことにしました。

                           「道をまだ先へ」 →10へ


   7:   『花たちの答え』

少し考えて答えました。
「あの…行く先は特に決めてないんだけど……」
ふと、思い出して付け加えます。
「…ランチ、を知らないかな?」
花たちがさわわわ、と互いに呟きます。
〈ランチ?〉
〈汽艇(ランチ)?…船ならそこの小道を右に出てその先に〉
〈昼食(ランチ)?…ならそこの小道を左手に〉
重ねて尋ねました。
「ひと…は見なかった?僕のほかに」
〈ひと…? あなたみたいのは、あなたひとつだけ〉
他にはっきりした答えはないようです。
お礼を言ってどちらかに行ってみることにしました。

                         「右の道を行ってみよう」 →11へ
                       「左は何があるんだろう?」 →12へ


   8:   『元の道筋へ』

一度試してみましたが、石の大きな時計は重くてとても自分の力で
は動いてくれそうにありません。
辺りを確かめてみましたが、小道はここまでのようです。
諦めて、草をさわさわと鳴らしながら元の道に戻りました。

                          「このまま先へ…」 →4へ





※ネタ元原典:デビルサマナー「ソウルハッカーズ」(ATLUS)。 勿論ですが個人的なお遊びの落書きにつき、ネタ元の製作会社等には無関係です。